この日はグリンデルワルド泊。
ハイキングから帰ると自由行動。キビキビ、ハキハキのガイドさんが教えてくれた店で、チーズフォンデュを食べる事になった。一寸お高いかもしれません、といっていたけれど、それはともかく、お水も有料、お鍋の中のチーズは人数ぎりぎりのりょうで、ツエルマットのあの自由な雰囲気とは違ってちょっと窮屈。でもトマトベースのフォンデュはさっぱりとして口当たりもよくみんな美味しい美味しいと言ってペロリと平らげる。しばらくすると、アコーディオンと、アルプホルンを持った年配の二人がやってきて演奏を始めた。このホルンはあまり長いので、三つに分かれて繋ぐようにできている。先っぽには、それぞれスイスの花や山の絵がかいてあり、興味深い。
ホルンのことを知ったのは、10代のころ読んだ横光利一の『郷愁』で。チロルの山の中で谷に向かって吹くホルンやヨーデルの響き。それを読んだ時は、その形も、音色もイメージ出来ないままあこがれていた楽器。後日写真で観たりTV番組でも登場するようになってやっと判るようにはなりましたが、まさかレストランで聴こうとは。
本当はチロルの山中で谷に向かって歌う名人のヨーデルと共に聴いてみたかった。
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これは、先日、友人のドライバーの誕生日のために歌をプレゼントし、バスの前で旗を振るパフォーマンスをみせてくれ私たちのバスの運転手の、アルプホルン。先端に描いてある絵は僕のママが描いたと、誇らしげに語っていた。彼の家庭を想像してしまった。
この人はヨーデルの名手でスイスの全国大会で何度も入賞している事で有名だそうである。それで、あの歌のプレゼントね、と納得。
また、サンモリッツの時のドライバーも、趣味がひろく、ツール・ド・何とか? という自転車競技にもいつも出場している。バスの荷物入れには組み立て式のバイクが入っていたし、ギリシャに別荘も持っていると聞いて私たちは唖然としたものだ。握手した時のがっしりとした掌のぬくもりが忘れられない。
スイスの人は勤勉で日本人に似ています、とガイドは言ったけれど、勤勉だけが似ているだけじゃないの!と言いたい。弁護士とドライバーの二足のわらじを履いている人もいるそうで、それが一番ビックリしましたと、ガイドのTさんは言っていた。私もあらためてびっくりし、しばらく考え込んでしまった程。 |
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